看護師アニキの”裏”看護

クロロホルムで気絶はウソ!?現役看護師が真実を教えてくれた

 

またまたやってきました看護師アニキの”裏”看護シリーズ。

今までのお話はこちらからどうぞ。

https://takaburo.com/category/nurse

わたしの友人である看護師アニキは、その道20年の大ベテランな看護師さんなんですけど、上のURLにもあるとおり、いろーんな面白い話をしてくれるんですよ。

精神科勤務ということもあって、ここではお話できないようなガチでヤバい患者さんの話しとか、聞いてて「こんなことわたしに話していいのかしら??」と思うような、かなりギリギリな話もポンポン出てきます。

まぁ、今回はまったくそんな話ではないんですけどね^^;

つい先日、わたしが刑事もののドラマを見ていたときにふと気づいたんですけど、最近、クロロホルムを染み込ませたハンカチを口にあてがって気絶させるシーン、見なくなったと思いませんか?

もしかしたら、後ろから近付いてハンカチを~って、バレないでやるのは現実的じゃないので、リアリティを追求した結果、テレビで見なくなったのかなと。

でも、非現実的の代表作とも言えるコ〇ン君をチェックしてみましたが、やはりこっちでも見当たりません。

気になってくると俄然調べないと気が済まない質なので、ここはいっちょ本物の看護師に確認してみようと思い、アニキに聞いてみたんですよ。

そしたら、非常におもしろい事実が聞けたんで、あなたにも教えちゃいますね^^


クロロホルムってなんぞや?ってところから

結論をお伝えする前に、まずは「クロロホルムってなんぞや?」というところからお話していきます。

「めんどいわ!」「そんなん知っとるわ!」って方は、次の見出しまで進んじゃってください。

でも、クロロホルムがどんなものかわかってから読んでもらった方が、この後の真実がより一層おもしろくなると思いますよ。

そもそも「クロロホルム」とは、1800年代頃に流行った、麻酔効果のある有機化合物だそうです。

かの有名なビクトリア女王の無痛分娩に使用されたくらいで、かなり当時は効果の高い麻酔薬だったんでしょうね。

ただ、有機化合物ということもあって毒性があり、不整脈などの副作用があることから、最近ではほとんど使用されていないそうです。

わたしとしてはこの事実に非常にびっくりしまして、麻酔=クロロホルムのイメージだったので(わたしがおっさんなだけ?)、思わずへぇーって言っちゃいましたね^^;

ちょっと話は脱線しちゃいますけど、当時の麻酔薬はクロロホルムみたいに副作用とか危険性が高いものが多くて、ハロタン(肝毒性がある)、メトキシフルラン(腎毒性がある)、ジエチルエーテル(引火性がある)などなど、思わず「それ大丈夫?」と疑いたくなるものばかりだったそうです。

ちなみに、現在は亜酸化窒素、セボフルラン、イソフルラン、デスフルランといった麻酔薬が主流とのことでした。

話しを戻しまして、続いて使い方についても見ていきましょう。

クロロホルムの使い方

クロロホルムの使い方はよく医療系ドラマで見る通りで、空気と適量のクロロホルムを混ぜ合わせたガスを呼吸器から患者さんに吸わせて眠らせ(麻痺)ます。

ただし、一度に大量に吸ってしまうと自律神経に影響が出てしまい、呼吸停止などの危険性が高まるので注意が必要です。(といっても、受ける側のわたしたちは注意もクソもありませんが(笑))

とはいえ、これはどんな麻酔薬にも言えることなので、特別クロロホルムだけが危ないものではありません。

ここまで読んでもらえたなら、クロロホルムに気絶させるだけの効果があることは理解してもらえたと思います。

以上の内容をしっかりとあたまに入れたうえで、じゃあ、実際にハンカチに染み込ませたクロロホルムを嗅がせたらどうなるのか、現役看護師が答えた結論をお伝えしていきます!

豆知識:クロロホルムが有名になった理由

と、その前に、なぜこれだけクロロホルムが有名になったのか、少しお話しておきますね。(完全に蛇足なので、読み飛ばしてもらってOKです)

クロロホルムが有名になったのは、かの有名な推理小説「シャーロックホームズシリーズ」が原因だとわたしは思っています。

というのも、「最後の挨拶」という物語の中で、犯人がターゲットを気絶させるために実際に使用しているシーンが書かれているんですよ。

シャーロックホームズに影響を受けた作家は数知れないですからね。

周知の事実として広がりつつ、定着していったのでは?とわたしは考えています。

なぜ原作者であるコナン・ドイルがクロロホルムを使用するシーンを書いたのかって話ですけど、当時イギリスで医師を務めていたジェームズ・シンプソンが、とある大学の講義でクロロホルムについて話をした可能性があり、コナン・ドイルがその講義に参加していたからなんです。

ジェームズ・シンプソンは、クロロホルムの麻酔性にいち早く目を付けた医師として有名ですから、そう考えるとなんだか辻褄が合うなぁと妙に納得しちゃいました。


「クロロホルムを嗅がせたら気絶する」はウソ?

色々と脱線しちゃいましたけど、ここからようやく本題に入っていきます。

看護師歴20年に聞いた「クロロホルムで気絶は可能か」ですが…

 

 

 

 

 

 

限りなく不可能!

とのことでした。

「えっ!?麻酔薬にも使われていたんだよね?」と思われたあなたのために、理由などを詳しくお話していきますね。

99%あり得ないフィクション

最初にこの疑問をアニキにぶつけてみたところ、まずは失笑、そしてため息でした(笑)

一瞬わたしがおかしいことを言ってるのかなと思うくらい、あり得ない話みたいなんですよ。

ここからはアニキの談です。

「いいか?クロロホルムはたしかに麻酔薬として使われていたが、だからと言って犯行に使うのはほぼ不可能だ。」

「まず、クロロホルムで気絶させるならかなり量が必要になってくるし、そんなちょびっとハンカチに染み込ませたくらいで気絶するほどの効果があるなら、実験段階でみんなガスマスクとかの完全防護が必要になる劇薬レベルだろ。」

「それと、少量を嗅いだくらいじゃ一瞬で落とす(気絶させる)のは無理だし、かといって仮に大量に嗅がせることができたとしても、それは気絶じゃなくて死だな。」

とのことでした。

つまり、医療に携わる人からすれば完全なフィクションであり、あり得ない話らしいです。

もしクロロホルムで気絶させるとしたら?

もし、クロロホルムを使って気絶させるとしたら、どうすれば良いのかも聞いてみたところ、こんな回答をいただきましたので紹介しておきます。

「なんでそんなこだわるのか知らんけど、どうしてもクロロホルム前提でいきたいなら、条件は2つ。」

「①適量を長時間嗅がせる状況が必要、②ターゲットが暴れずにおとなしく嗅ぎ続けなければならない。」

「①に関しては当たり前だが、大量に嗅がせると死ぬ可能性もでてくるため、あくまでも適量を長時間嗅がせる必要がでてくる。」

「この時点で現実的じゃないと思うが、奇跡的にそうなったとしても、じーっと黙って嗅いでくれるわけないよな?」

「つまり、②の条件が必要になってくるわけで、どちらかと言えばターゲットがクロロホルムで気絶したいと思っていない限り不可能なんだよ。

ターゲットが自ら協力して失神させてもらうくらいの状態でなければ、土台無理な話ということのようですね。

そう考えると、ドラマがいくらフィクションであろうとも、あまりにもあり得ない方法を採用していたことがよくわかります。

結論:どう考えても無理!

ということで、結論ですが、「どう考えても無理!」です^^;

アニキの話しを聞いていて思ったのが、クロロホルムにそんな高い効果があるなら、実際の事件でももっともっと使われるはずだよなと。

ほとんど(いや、まったくか?)そんなニュースを聞いたことがないのを考えたら、やっぱり現実的な方法ではなさそうです。

中には試してみた犯人さんもいらっしゃるかもしれませんけど、びっくりするくらいターゲットはいつまで経っても元気いっぱいに抵抗してきて、かなりびっくりしたんじゃないですかね(笑)

いないとは思いますけど、これから「クロロホルムで気絶させて…」みたいなこと考えているのであれば、やるだけ無駄ということだけはお伝えしておきます。

ついでにお腹にパンチと首に手刀も気絶は非現実的

またまた蛇足ですけど、同じような都市伝説的な気絶の手法として「お腹にパンチ」「首に手刀」がありますよね。

この2つの方法は主にマンガやアニメで見かける(というかドラマでは見ない)もので、どすッと重たいパンチがお腹に入った途端、ガクッとその場に倒れてしまうシーンを誰でも一度は見たことがあるはず。

で、結論ですけど、どちらもやはり非現実的な気絶方法だそうですよ。

「腹にパンチで気絶ってのは、多分、横隔膜に強い刺激が加わったときに起きる痙攣からの呼吸困難が起因してるのかもな。」

「まぁ、できないことはないかもしれんが、一瞬で気を失うのは少し考えにくい。」

「ただ、首に手刀での気絶は9割方不可能だと思うぞ。」

「あれ、頸動脈の血流を一時的に遮断して気絶させる、みたいな原理だろうけど、一瞬血液が止まったくらいじゃ気絶なんかしないからな。」

「もしくは脳に衝撃を与えて気絶させることも考えられるが、かなりの力で殴らないと無理だろうから、あんな手刀でポンは現実的じゃないな。」

所詮はマンガの世界のお話、といったところでしょうかね。

唯一現実感があったのはお腹にパンチですけど、ワンインチブロー(ゼロ距離でのパンチ)が前提条件なることを考えたら、そんなに威力は出せそうにない気もしますから、プロの格闘家ならまだしも、ド素人が気絶させるのはかなりむずかしそうな気がします。

何にせよ、良い子はマネしちゃダメなことだけは間違いないですね^^


刑事ドラマからクロロホルムのシーンが消えた理由を考察

クロロホルムでの気絶が非現実的という結論に至りましたが、改めてわたしが疑問に感じたのは、「なぜドラマからクロロホルムが消えたのか」です。

フィクションなわけですから、そのまま採用されていてもおかしくないと思いませんか?

あれこれ考えを巡らせたところ、わたしなりに思い当たったのが以下の2つの答え。

コンプライアンスの問題
クロロホルムでは気絶しないのが浸透した

それぞれ詳しくお話していきますね。

コンプライアンスの問題

最近なにかと騒がれるのが「コンプライアンス(法令遵守)」です。

とくにテレビなどの多くの人の目に留まるメディアは、コンプライアンスを求められることが非常に多くなってきていると強く感じられるようになりました。

そのせいで暴力的な行為やエ〇チな表現などが制限されましたよね。(昔はゴールデンタイムにお〇ぱいとか出てたんだけどなぁ…)

クロロホルムに関しても、かなりブラックな部分なので、コンプライアンスに引っかかってもおかしくはないような気がします。

上でもお話したように、ドラマのワンシーンを見てマネしようというアホ輩がいないとも限りません(マネしたところで効果はありませんが(笑))から、自然に淘汰されたと考えるのが妥当でしょうかね。

クロロホルムでは気絶しないのが浸透した

コンプライアンス問題のほかにも、単純にクロロホルムでの気絶は不可能だというのが浸透したのも考えられます。

というのも、あれこれ調べているうちに、2013年に某番組でクロロホルムの気絶はウソだったと放映されたという記事にたどり着きまして、それを機に、同局でのドラマで使われなくなり、他局にも浸透していったらしいんですよ。

それまでは「気絶させるものと言えば?クロロホルム!」みたいな風潮でしたからね。

その神話が崩れたとなれば、口コミで広がってもおかしくはありませんし、なによりテレビで見かけなくなった理由は明白でした。

わたしが考察するまでもなく、テレビ業界が自ら身を引いたのが正解だったようで、完全に思考するだけ無駄でした。ありがとうございます。

(今回の記事、無駄とか蛇足ばっかりだなぁ…(笑))

まとめ

看護師アニキの”裏”看護シリーズ。

今回は「クロロホルムで気絶はウソ!?」についてお話してきました。

結論としては「ウソ」だったわけですが、まったく気絶効果がないわけでもないので、一昔前にドラマで多用されていたのはあながち間違いではなかったんだなぁと、改めて思いました。

でも、ありもしない絶大な効果が独り歩きしすぎた感は否めません。

わたしとしては、今回アニキから専門家目線での意見を聞けたのは満足度が高かったです。

よく、医療従事者が医療系のドラマを見ると「ないわ~」って言いながらもついつい見ちゃう、みたいな話を聞きますけど、アニキもきっとそんな気持ちで答えてくれたのかもしれませんね。

ではでは、また次回の裏看護でお会いしましょー

ABOUT ME
うす毛のおっさん
30歳を過ぎたあたりから「あれ?おまえアタマやばくね?」と周りから言われるようになりました。 最初は「え!マジで!?」みたいな大きなリアクションをとっていましたが、今ではノーリアクション! うす毛なんか気にしない!・・・つもり Twitter始めたので気軽にフォローお願いします。@usugeburoger