看護師アニキの”裏”看護

【狂ってる】看護師アニキが教えてくれた「ロボトミー手術」が悪魔の所業過ぎる

 

ちょくちょく更新しているこちらの「看護師アニキの”裏”看護シリーズ」

過去の話しはこちらをごらんください。

https://takaburo.com/category/nurse

う〇この中を泳いで脱走した話とか、喉を詰まらせた患者さんを助けたときの話しとか、かなりリアルな看護師の世界が覗けちゃいますよ^^

 

今回は、アニキから聞いた少し怖い話をさせてもらおうと思っています。

あなたは「ロボトミー手術」という言葉を、聞いたことがありますか?

恥ずかしながら、わたしはアニキから教えてもらうまで一度も聞いたことがなかったんですけど、これがなかなかに怖い内容の手術でしてね…

端的に説明すると、大脳にある前頭葉(主に思考や判断などを司る部分)を切除する手術で、こうすることで暴力的になりがちな統合失調症などの患者さんの症状を抑える効果があるそうです。

聞いただけでも恐ろしいですね…

脳みそなんかいじって大丈夫なんかい!と。

しかも前頭葉を切除したら廃人になるんとちゃうんかい!と。

素人ながらわたしは思ったんですけど、実際はそうではないみたいです。

ということで、看護師歴20年から聞いた「ロボトミー手術」についてお話していきますね。


「ロボトミー手術」とは?

冒頭でも簡単に説明しましたけど、そもそも「ロボトミー手術とはなんぞ?」ってところから入ります。

大脳部分にある前頭葉を切除することで神経回路を遮断、患者の凶暴性が収まるというのがロボトミー手術。

どう考えても危険そうな方法ですが、意外過ぎることに、この術式を世に広めたポルトガルの神経外科医「アントニオ・エガス・モニス」は、1949年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

それほどまでに絶大な効果があったようで、ノーベル賞を受賞する前は2000件程度の事例しかなかったところ、受賞後は一気に18000件にまで膨れ上がったそうです。

最初はチンパンジーで実験した

事の発端は1935年、2人の医師がチンパンジーにロボトミー手術を施したところから始まります。

前頭葉を切除されたチンパンジーは、その凶暴性をすっかり失くし、人間に従順になった。

つまり、手術は想像以上の結果を残すこととなりました。

これが学会で発表され、画期的だと目を付けた前述のアントニオ医師は、どんどんロボトミー手術を行い、最終的にはノーベル賞を受賞するまでに至ります。

ロボトミー手術の方法

ロボトミー手術の主な方法としては、両側頭部に穴を開けて、ロボトームという専用の器具を挿入、視床下部と前頭前野をつなぐ神経線維を切り離すもの(モニス術式)と、アイスピック状の器具を眼窩の骨の間から挿入、前頭葉部分に到達させて神経線維を切断する方法(経眼窩術式)があります。

前者はロボトミー手術を広めたアントニオ医師が考案した術式、後者はアメリカの医師ウォルター・フリーマンなどがモニス術式に改良を加えたもの。

モニス術式には頭蓋骨の一部に穴を開けるデメリットがありますが、経眼窩術式にはそれがなく、手術スピードも速い(12分)ため、フリーマン医師は出張で手術を行っていたそうです。

ロボトミー手術の闇

非常に画期的で効果のある手術として大流行したロボトミー手術ですが、効果ばかりが注目され、なぜか副作用についてはほとんど触れられることがありませんでした。

たしかに暴力性がなくなったり、激しい興奮が収まるなど、重度のうつ病や統合失調症などの精神疾患を抱える一部の患者に対しては一定以上の効果がありました。

ただし、副作用として無気力になる、物事への意欲の喪失、感情の低下など、およそ人間としての大切な部分がなくなってしまう患者さんが続出したんです。

まさにロボットのような状態になってしまうわけですから、なぜそこまで爆発的に手術事例が増えたのかが気になりますね。

ロボトミー手術が流行した時代背景

ロボトミー手術が大流行したのには、当時の時代背景が色濃く影響を及ぼしていたことが原因です。

というのも、当時は効果の高い精神薬が少なかったようで、症状の重い精神疾患を抱える患者さんに対して、医師や看護師ができることは限られていたみたいです。

最終的には拘束などで自由を奪い、まるで奴隷化なにかのような扱ったり、医者が患者に対して暴力を振るって黙らせる、といったことも少なくありませんでした。

現場もほとほと手を焼いていたというのが実情、そんなところでしょうか。

とんでもない話だと思いますが、実際には困りに困り果てた結果に生み出された歪んだ異物だったのかもしれません。

ロボトミー手術のその後

1950年代、北欧でノーマライゼーション(障害がある人とない人が平等に生活できる社会を作ろうという思想)が起こると、ロボトミー手術などの精神科の非人道的な行為は糾弾され始めます。

その煽りを受け、1960年代頃にはロボトミー手術を受けた患者がアントニオ医師のノーベル賞取り消しを求める運動を始めるなど、加速度的に衰退していきました。

抗精神病薬の開発が急激に進んだのもこのあたりです。

手術をしなくても症状を抑えられるだけの環境が整ったと同時に、ロボトミーは時代の表舞台から自然と消えていきました。

日本でも1975年までは実施されていたという事実

先ほどから外国の話しばかり出ていたので、日本には関係ないように思われたかもしれませんが、決してそんなことなく、1975年の廃止になるまで当たり前のように実施されていました。

ちょっと信じられないですよね。

もしかしたらわたしたちの周りにも、ロボトミー手術を受けた方がいたのかもしれないわけですから、少し怖い気もします…


アニキが語るロボトミー手術を受けた患者の様子

ロボトミー手術が如何に怖いものだったかがよくわかったところで、ここからは実際にアニキがロボトミー手術を受けた患者さんに会ったときの話しをしていきます。

もちろんリアルタイムで手術を受けた方ではなく、数十年前に受けた患者さんの話しです。

「統合失調症やうつ病の患者さんて、言葉は悪いけど壊れてるんよ」

「妄想や幻聴でいっぱいいっぱいになってるから、まったく話ができない人もいる」

「そういう意味では崩壊してるんだけど、俺が昔あったことのあるロボトミー患者は、統合失調症とも認知症とも違う壊れ方をしていたな」

これ以上はあまり深く語ってくれなかったんですけど、話から察すると、無気力というか、ぼーっとしている感じだったそうな。

わたしたちのように自分で考えて発言、行動することができなくなるわけですから、そうなるのも当然でしょう。

この患者さんが自ら望んでロボトミー手術を受けたのであればまだ納得はできますが、当時の劣悪な精神科の惨状を考えたら、半ば強引に家族を説得して受けさせたのではないかと、変に勘ぐってしまいます。

そうではないことを祈るばかりです。


日本で起きた「ロボトミー殺人事件」

実は、1979年に日本ではロボトミー手術が元になって起きた殺人事件が起きています。

犯人である桜庭章司さんは、若いときから気性が荒かったそうです。

ある日、老いた母の面倒をどちらが見るかの話し合いのために訪れた妹夫婦の家で口論となり、人形ケースを壊してしまったことで訴えられ、捕まってしまいます。

その後精神科病棟へと収容された桜庭さんは、そこで1人の女性と出会い、仲良くなりました。

そんな中、彼女がロボトミー手術を受けることになり、結果的にまるで別人のようになって帰ってきたことに激怒した桜庭さんは、担当した医師に詰め寄ります。

それを危険だと判断した医師は、桜庭さんの家族を強引に説得してロボトミー手術を決行、本人に知らされることなく(肝臓の手術とだまされた)手術は行われました。

もともとスポーツライターを生業にしていた桜庭さんでしたが、術後の影響で仕事への意欲低下、感情の鈍化などが起こり、とても記事を書ける状態ではなくなってしまいます。

仕事も友人も奪われたことに絶望した桜庭さんは、ロボトミー手術を行った担当医の自宅へ侵入、もちろん目的は復讐で、担当医を殺害して、桜庭さんも自殺しようと考えていたそうです。

しかし、親友時には担当医は帰宅しておらず、代わりに同居していた家族(祖母と妻)を拘束して本人の帰宅を待つことに。

ただ、待てど暮らせど帰ってこなかったため、急遽物取りの犯行に見せかけるために拘束していた家族を殺害し、金品を奪って逃亡。

このとき、自殺を考えていた桜庭さんは大量の薬を飲んでいたので、逃亡中に意識が混濁、駅前で警察に職務質問を受けてしまいます。

意味不明な発言を繰り返した結果、あっさりと逮捕、犯行時に使った凶器などを所持したままだったこともあり、桜庭さんが犯人であることが明るみにでました。

裁判では「無罪か死刑でなければロボトミー手術を理解していない」と発言し、最高裁まで争いましたが、無期懲役の判決が下され、桜庭さんは刑務所へと収監されたのです。

なんとも後味の悪い事件

かなり端折ってますけど、読んでもらったらわかるとおり、なかなかに後味の悪い事件ですよね。

桜庭さんが実際に精神疾患があったかどうかは定かではありませんが、妹夫婦から訴えられたあたり、昔から相当問題があったのではないかと推測できます。

ここら辺については仕方ないとはいえ、そのあとですよね。

桜庭さんがどれほど病院内で暴れたのかわかりませんが、だましてロボトミー手術を受けさせたのは非人道的としか言いようがありません。

ちょくちょく日本の医療にはこういった闇があって、優生保護法なんかはその典型と言えますよね。

その後の展開も胸くそ悪くて、たしかに殺人を犯した桜庭さんは悪いです。

ですが、その発端となったのは間違いなく担当医師ですし、その本人がなんのお咎めもないのはわたしとしては納得がいかない部分が大きいです。

後に桜庭さんは精神科病棟のことを「刑務所よりもひどい」と発言していて、医者も含めた当時の劣悪な環境のせいでロボトミー手術を強制的に受けさせられた患者さんがほかにもいたのではないかと、やはり勘ぐってしまいますね。

結論:ロボトミー手術は廃止されて本当に良かった!

途中からアニキとはまったく関係なくなっちゃいましたけど、ロボトミー手術ってほんとうに怖いですね…

素直に廃止されて良かったなぁと思います。

とはいえ、これはあくまでも日本の話しで、調べてみるとごく一部の国ではまだロボトミー手術が行われているそうです。

もちろん、以前のような非人道的に強制するようなことはなく、きびしい条件下のもとでのみ行われているようですが、それでもやるべきではないように素人のわたしは思ってしまいます。

問題があることを理解したうえで今でも残っているということは、やはりやらざるを得ない状況にある患者さんも中にはいらっしゃるんでしょうね。

より技術が進んで、ロボトミー手術がなくなることを心から願います。

ABOUT ME
うす毛のおっさん
30歳を過ぎたあたりから「あれ?おまえアタマやばくね?」と周りから言われるようになりました。 最初は「え!マジで!?」みたいな大きなリアクションをとっていましたが、今ではノーリアクション! うす毛なんか気にしない!・・・つもり Twitter始めたので気軽にフォローお願いします。@usugeburoger